多くの若い女性が持つ「やせ願望」やダイエット指向。実はその多くの者がやせる必要はないのに偏った食生活を送ったり、極端なダイエットを繰り返しています。若い女性の「やせ」は多くの健康問題のリスクを高め、さらに若い女性や妊婦の低栄養問題は「次世代の子ども」の生活習慣病のリスクを高めると危惧されています。
若い女性で「やせ」が多いことは、厚生労働省が毎年全国レベルで実施している国民健康・栄養調査で示されています。平成17年に行われた調査によると、20年前(昭和60年)と比べて、肥満度(BMI)が18.5未満の「やせ(低体重)」が20代女性では5.8%、30代では14.2%、40代では4.2%増であることが分かりました。
女性の「やせ」が増えている背景には、食生活や生活スタイルの多様化、各種メディアに露出しているタレントがやせているため「やせているほうがいい」という価値観の普及、氾濫した様々なダイエット法など種々の因子が影響を及ぼしていると考えられています。そして、誤ったダイエットなどによる偏った食生活は、鉄欠乏など潜在的な栄養不良のリスクを高めます。
鉄欠乏やそれに伴う貧血は、だるい、疲れやすいといった自覚症状や、発育障害などをもたらします。鉄欠乏を防ぐには、鉄を豊富に含む赤身の肉やほうれん草などの野菜をしっかり食べ、その吸収を高めるビタミンCなどを含む果物なども組み合わせて、バランスのよい食生活を送ることが大切です。月経のある20~40代の女性では、鉄は1日に10.5mgとると不足のリスクが少なくなると考えられています。しかし、実際には多くの女性で不足していることが指摘されています。無理なダイエットや偏った食生活は、鉄以外にも健康を維持する上で大切な栄養素の不足を招きます。また無理なダイエットを繰り返すと、逆に太りやすくなることが危惧されます。
さらに「やせ願望」が深刻化すると、「神経性食欲不振症(拒食症)」や「過食症」を招く恐れがあります。いずれも摂食障害ですが、前者は太ることを恐れ、食物を避けるために極端な痩せを伴います。多くは思春期から青年期早期にかけて発症すると考えられています。後者は週に数回、数ヶ月間にわたる過食と、体重増加を防ぐための不適切な代償行動(例:嘔吐、下剤の使用など)の両方が存在し、拒食症よりは発症が遅い傾向があります。摂食障害が慢性化すると、無月経や低血圧、不整脈など多くの健康障害を招く恐れがあります。摂食障害の要因には、強い「やせ願望」以外にも不安やストレスなど精神的な要因もあります。まずは適切な体重を理解し、誤った「やせ願望」を持たないようにしましょう。また、食べること以外に、体を動かしたり、趣味などでストレスを解消してみましょう。
最近の研究では、若い女性や妊婦の低栄養が、その子どもの将来の生活習慣病(高血圧、糖尿病など)のリスクを高めるとの見方があります。妊娠中のみならず、妊娠する前からの適切な食生活の確保が、将来の日本の子どもたちの健康にとって大切であることを理解し、適正体重の維持とバランスのとれた食生活の確立を目指しましょう。
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